千葉カントリークラブ三田会  (健康寿命延伸術)

                              福島清允

 早稲田OBの友人からミタカイとゴキブリは世界中にはびこっている、お前達は「群れる」という本能を持っているのか? と言われたことがあります。なぜ塾員が3人集まれば三田会ができるのでしょうか?

福沢先生は慶応義塾は一つのカンパニーであり構成員を社中とよぶ、と言われたそうです。社中の範囲は塾生・塾員・教職員すべてであり、歴代の塾員は社中協力というべき思想を原動力にして慶応義塾の発展に尽くしてきました。社中協力実現の仕掛けとして三田会という社中交歓の場が無数に設けられ、三田会に集う塾員たちは年代を超えて友情を育み、情報交換・啓発・助け合い・・・・塾当局も三田会活動の支援や情報発信に熱心で社中協力思想の活性が維持されていると思われます。世界中で三田会という社中交歓会に塾員が群れるのは慶応義塾の教育が一定の成果を挙げている証でありましょう、「群れ」は本能にあらず福沢精神であります!

 近年、お正月の度に思うことがあります。お屠蘇とお雑煮で祝い膳、近所の神社に初詣で、と恒例の正月行事をすませて飼い犬と遊びながら孫たちが集まってくるのを待っている、この「幸せ」はいつまで続くのか・・・。

齢70を超えて、平均寿命・健康寿命のコトがきになるのです。日本人男性の平均寿命は約80歳・健康寿命は70歳だそうです。これは健康寿命が尽きても10年間は死ねない、と言うことなのでしょうか!!

 私は隠居宣言をして8年経ちました、リタイアライフは心身の健康保持を期待してゴルフライフにすると決めて毎年100回以上ラウンドする生活パターンを守っております。神様はいかほどの余命を私にくださるのか判りませんが、健康な時間は長く要介護ないし寝たきりの時間は短く・・・とお願いし続けております。シニヤライフ=ゴルフライフという選択は健康寿命延伸・寝たきり寿命短縮の願いに有効な決断と言えるのでしょうか。

  私のゴルフライフは「千葉カントリークラブ三田会」に支えられて、充実したシニヤライフを満喫しております。千葉カントリークラブ三田会(CCC三田会)は元慶應義塾體育會ゴルフ部監督の橋上靖一君(昭和30年卒)の提唱により平成12年に社中交歓・ゴルフの理解深化・千葉カンへの貢献を目的として発足しました。平成28年末の在籍者は133名、月例の競技会には3~40名が出場しております。我が国のゴルフ場は少子化が25年以上も続いてゴルフ人口がどんどん減少、お先真っ暗と言われておりますが、なぜか千葉カンの業績は順調でCCC三田会の活動も活発です。特に会則と称する文書はありませんが決まり事はあります。特徴的なのは、会員の序列は卒業年度順であること、社会的な地位・貴賤の衣はクラブハウスの入口で脱ぎ捨てること、です。これは体育会のOBが多く、現役時代の年次序列の延長でうまく機能しております。

 つぎはプレイマナーに関しては一般の会員の模範たるべきことであり、バンカーの砂ならし、コースにあけたディボットの穴埋めには熱心に取り組んでおります。比較的若いメンバー(現役世代)は砂袋と小さなスコップを常時携帯してラウンド中に自分で開けた穴は埋め戻し、目についた他人の穴も修理!を励行しております。月例の競技では単なるストロークプレーに飽き足らず、マッチプレーに遊びの要素を加えた方式で賞金の争奪戦(違法にならない範囲で)を戦います。

ステープルフォード、フォアボ-ル、ロシアンステーブルフォード、アイリッシュステーブル、ツームストーン、アンブローズ、○○君に挑戦(直近のクラブ競技の覇者にストロークで挑戦)等の方式ですが、競技方法や競技特則の採用は幹事の特権で決めます。

 競技終了後入浴を済ませて全員集合、アルコール抜きの宴会・表彰式・トピックスのショートスピーチ・ゴルフルールの5分間勉強会、最後に渡邉眞幸君(30年卒医学部三四会)の健康講和でお開き、という段取りです。

 現在は毎月の例会参加者に20人近くの後期高齢者がまじっておりますが17年前(発足当時)は70歳以上の高齢者は一人か二人でした。ここ10年間に鬼籍に入った高齢会員も記憶にありません、新陳代謝がなされぬまま健康寿命を突破したメンバーが続々と平均寿命も超えてリタイアライフを楽しんでおります。このことは超高齢化社会の到来=老人医療費の爆発的増加(健康寿命と平均寿命の乖離)という長寿亡国論に対する光明かもしれません。健康寿命と平均寿命の乖離問題は医学の進歩に伴う皮肉な結果であり、もろもろの対策・予防の研究も進んでいると聞きますが問題は深刻化しつつあるとも聞きます。

 素人考えの直感でCCC三田会の常連メンバーのリタイアライフは「寿命の質」を維持するためには極めて合理的なライフスタイルなのではないか、と思えるのです。ここで言う常連メンバーとは毎月の例会に出場し、少なくとも週に一回はクラブを握って練習場に通うかゴルフ場に出かけて練習ラウンドをする人、「ゴルフガイ」です。いわゆる寝たきりと認知症に代表される脳神経不全により介護人無くしては生活できない人が健康寿命が尽きた人と定義されるのでしょうか。健康寿命を伸ばすノウハウを論じた情報は山ほどありますがゴルフガイの生活は特別の意識なしに「健康寿命延伸ノウハウ」に適合したライフスタイルだと言えそうです。

 延伸ノウハウは「ロコモ機能対策」と「メンタル機能対策」を論じています。ロコモ対策は適度な運動の継続と栄養バランスのとれた食餌習慣と言えそうです。ゴルフライフという生活を選択した人はイヤオウなしに月間20万歩以上芝生の上を歩き回り、スイングのたびにいろいろな筋肉を使い、筋トレのためにジムに通う人もいます。

 ゴルフというスポーツは筋力の強さ速さの極限を競うゲームではありません。プレーヤーは自分にとって無理のない速度で歩き、適当と思える勢いでショットするので自然に「適度」の範囲内の運動習慣で暮らすことになります。メンタル対策は仕事を継続するのが一番、友達が多いのが二番、オタクが三番・・・

 要するに脳にシゴトをさせ続ければ認知症にならない、毎日ボサーっとし続けると脳神経がさびついて機能不全に陥るということなのでしょうか。

「脳のシゴト」とは「判断すること」だと思います。判断とはチャンスとリスクを天秤にかけること、チャンスにワクワクしつつリスクにビクビクしながら行動を選択することでしょう。人はワクワクがあるから先へ進めるのであり、ビクビクがあるから失敗のリスクを最小化できる(と思っている)のではないでしょうか。

ゴルフというゲームはワクワクの範囲が広く、ビクビクの範囲も多様でショット・パットの度に判断に迷うことがたくさんあります。想定の範囲をはるかに超える事態もしょっちゅうで一回のラウンドで天国と地獄をたっぷり味わうことができます。

 ということで三田会という社中交歓の装置により大勢の友人との接触・会話・啓発の機会を享受し、ゴルフという適度な運動と脳を鍛えるチャンス/リスクの選択を強要するスポーツの組み合わせは健康寿命延伸に理想的なリタイアライフかもしれません。